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「男だったら関白にしたのに…」秀吉が溺愛した養女・豪姫の「悲運」とは?

日本史あやしい話28

 

■豪姫ゆかりの名刀大典太光世とは?

 

「大典太光世(おおでんたみつよ)」という名刀をご存じだろうか。童子切や鬼丸、三日月、数珠丸などと並ぶ「天下五剣」の一つに数えられる名刀(国宝)である。

 

 この刀、もともと足利将軍家が所有していたもので、足利家の没落に伴って秀吉の手に渡り、秀吉が前田利家に譲ったという経緯があった。その理由が、豪姫に関わるものだったというから、目が離せない。

 

 それは、豪姫が原因不明の病にかかったことに端を発している。占い師によると「狐が取り憑いている」からとのこと。これを耳にした実の父である前田利家が、秀吉が所持していた霊剣・大典太光世を借り受けて、その霊力に期待。姫の寝所にこれを置いて、取り憑く狐たちを追い払おうとしたのである。

 

 その目論見は、みごと的中。わずか3日で元気になったとか。これで良しとばかりに、刀を秀吉に返却するや、またもや姫が病に倒れた。ここにおいてようやく、その霊力を感じ取った秀吉が、前田家にこの刀を贈与。再び姫の枕元に置くと、病も癒えたとか。以降、前田家の家宝として大切にされ、今もその後裔ゆかりの財団が保管し続けているという。

 

 彼女の後半生は、夫とも生き別れるなど悲運だったというべきかもしれないが、それでも、さまざまな方面から愛され、そして見守られ続けてきたことだけは間違いなさそうである。

 

 

 

 

 

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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